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肝臓と疾患

肝臓は右の上腹部にある大きな内臓(1〜1.25kg)で,栄養分の代謝や蓄積,さらには不要物の解毒などの大事な働きを担っています。肝臓が働かなくなると人間は数日間で命を落としてしまいます。肝臓に多い病気にはウイルス性肝炎,肝硬変,肝内結石などの良性疾患の他,原発性肝がん(肝臓の細胞から発生する癌),転移性肝癌(体のほかの場所にできた癌が転移したもの)などの悪性腫瘍があります。消化器外科では主に癌などの悪性腫瘍の手術を担当しています。

肝臓の構造

肝臓は1から8までの亜区域,4つの区域、3つの葉に分けて考えます。

区域 亜区域
右葉 前区域 S5
S8
後区域 S6
S7
左葉 外側区域 S2
S3
内側区域 S4
尾状葉 S1

肝臓の悪性腫瘍

≪1.肝細胞癌(HCC)≫

主にB型やC型のウイルス性肝炎,肝硬変のある肝臓に発生します。しかし,時にはウイルスと関係なく発生することも有るので安心は出来ません。エコー検査,CT検査や腫瘍マーカー(AFP, PIVKA2 など)で診断されます。肝臓の痛み具合や腫瘍の出来た場所,大きさ,数などによって内科的治療(ラジオ波,TAE など)か外科的治療(肝切除術)の選択を行います。

≪2.胆管細胞癌(CCC)≫

原発性肝がんの約3%を占めます。BやCの肝炎ウイルスとは無関係に発生します。リンパ節などに転移する力が強く悪性度の高い癌です。外科的切除が主な治療法です。

≪3.転移性肝癌≫

肝臓には体中から血液が集まってくるので,肺とともにほかの臓器からの血行性転移(血液の流れによってがん細胞が運ばれてきて肝臓で癌が発育すること)が多く見られます。転移した癌は一般的に根治が難しいことが多いですが,大腸や直腸の癌からの転移は状況によっては切除することで再び癌を根絶やしにすることが出来る場合があります。

≪4.その他の特殊な腫瘍≫

肝臓には上記以外にも悪性リンパ腫,胆管乳頭主腫,血管腫,胆のう癌,肝門部胆管癌などが発生します。


肝臓手術のいろいろ

≪1.部分切除≫

肝臓の腫瘍のある部分のみをくりぬく様に取り除く方法。肝臓の機能が悪く大量の肝切除に耐えられない場合などに行います。

≪2.亜区域切除≫

上図の亜区域に沿ってS1からS8までのいずれかの部分を取り除きます。

≪3.区域切除≫

上表の区域に相当する部分を取り除きます。前区域や内側区域の切除には高度の技術を要します。

≪4.葉切除≫

肝臓の右半分(右葉切除)や左半分(左葉切除)を取り除きます。取り除く容積の割合が大きいため,肝臓の予備力や全身状態を慎重に検討した上で適応を決めます。(参考)拡大右葉切除,拡大左葉切除はさらに半分を超えて中肝静脈を合併切除する方法です。

≪5.その他特殊な方法(中2区域切除,尾状葉切除など)≫

肝臓切離や脈管処理が複雑で高度の技術を必要とします。


   尾状葉切除            外側区域切除           左葉切除


   中2区域切除           後区域切除            右葉切除



手術実績(2006年1月〜2010年12月)

≪疾患別≫

疾患名 例数
肝細胞癌 60
転移性肝癌 46
胆管細胞癌 5
胆嚢癌 3
肝内結石症3
その他3
合計 120

≪術式別≫

部分切除 1か所 2か所 3か所 4か所
40 6 2 1
亜区域切除 S5 S6
3 6
区域切除 後区域 前区域 内側区域 外側区域
8 1 1 12
葉切除 左葉切除 右葉切除
13(うち拡大3) 10(内拡大4)